有田焼の陶土づくり

有田焼・波佐見焼など磁器の原料となるのが陶石で、かつては有田にある泉山磁石場で採掘された「泉山陶石」が使われていましたが、今では熊本県の天草で産出される「天草陶石」が主流になっています。

陶土づくりは非常に手間がかかり、また技術が必要な仕事です。

陶石に何度も洗いをかけ、鉄分の多い部分を取り除き、スタンパー(臼と杵)で長時間かけて粉砕し、粉状にしていきます。工場内はスタンパーの轟音が鳴り響き、説明していただいている声が聞こえないほど。

昔は川の水を利用し、水車で石を粉砕していたそうです。

粉状になった陶石を水に入れて撹拌し、沈殿した粒の粗い石や砂を取り除きます。
さらに細かい網のふるいにかけて、鉄分や不純物を取り除いたあと、圧縮機にかけて水分を絞り、粘土状の板にしたものが坏土(陶磁器の生地をつくる粘土のこと)です。
坏土は成形方法に応じて固さを調整し、円柱に練りだされたものが納品されます。

有田焼・波佐見焼の産地にいると、よく聞こえてくるのが「土屋さんが少なくなった」という声。量産食器の低迷から、陶土メーカーも半分以下に減少したそうです。でも陶土職人さんがいなくなっては、やきものづくりが立ち行きません。器を購入する消費者からは一番遠いところの作業をしている土屋さんですが、少しでもその存在を知っていただけたらなと思いました。

案内していただいた陶土メーカー田島商店さんの工場の脇にも、原料となる天草陶石が山と積まれていました。

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